私は今年24歳になるが、一度も女性と(一応断っておく、男性ともだが)性的経験を持ったことがない。
それどころか、まともに女性と交際をしたことも一度もないのである。これは、もはや楔のように私の心に打ち込まれた小さな傷だと私は思っていて、それを引け目に感じる心から私のコンプレックスの何割かは生まれているように思う。
そもそも、20代前半以降の童貞男性がセックスについて抱く憧れは、10代における本能的な欲求とは異なり、むしろオリエンタリズム的な感覚に基づくものなのではないかと思う。もはや失われたもの、ここにはないもの、どこか遠い場所で手に入れられるもの。そういったものが性的な行為もしくは状況に投射され、必要以上の渇望、時にはゆがんだ征服欲をもたらすのではないだろうか。
翻って、私も当然人並みに女性と交際し、肉体を触れあってみたいという欲求がある。しかしながら、ゼロからスタートするのはとても難しいし、年を経るごとにそれはさらに困難なものとなっていくのだろう。
「学生なら、何もしなくてもふつうに彼女くらいできるでしょ」という声もある。しかし、私にはできない。また、努力をしようにも一歩前のことで汲々としてしまっている状態だし、それを女性に見せたくないという見栄もおそらくは働いているのだろう。とてもそんな余裕はないし、それを斟酌して包容してくれる女性など、今の私には望むべくもない。
その「ふつうのこと」がどうしてできないのか、いつまで歯がゆい悩みを抱え続けなければならないのか、心苦しい。