きのうは整体に行って時間があいたので、横須賀のHUMAXシネマズへ行って映画『ソラニン』を観た。
平日の昼間ということもあり、客はガラガラ。おかげで落ち着いて鑑賞することができた。
僕は浅野いにおの手になる原作漫画がかなり好きで、かなりくり返して読んでいるので、映画化されるという話を聞いたときはわくわくした。しかし主人公カップルの片割れ・芽衣子のキャスティングが宮崎あおいだったので、「これじゃ芽衣子さんがかわいすぎるじゃん(原作の絵柄から受ける印象は平凡、というか素朴な女の子)。うーん、正直どうかなー・・・」とも思っていた。
ふたを開けてみると、宮崎あおい演じる芽衣子も演技としてはかなりしっくりしていて、かなり原作の芽衣子に接近していた。このあたりの女優ぶりはさすがだと思う。(どちらにしても、「かわいすぎる」という意味での違和感は残ったが・・・。かといって他の女優では、ラスト付近の演技はできなかったであろう)
むしろ高良健吾演じる種田の方が、原作とはやや違った造形になっていたのが気になった。
演出にも原因があるのだろうが、原作のある意味で俗っぽくスノッブでおちゃらけた面のある種田に比べてストイックで真面目な、「悩める青年」というイメージの方をより強く感じてしまったのだ。もう一歩踏み込んでいえば、映画の方の種田の背後にははじめから「死の影」が見えてしまっているので、折り返し点のどんでん返しがあまり心に響かなくなってしまっていると感じた。
もっとも、原作好きの僕と未読の人とでは、伏線の張り方についての感じ方に開きがあると思う。少なくとも僕は元ネタを知ってしまっているだけに、もっと「ウソ・・・!?」と観る者に感じさせるような演出をしてほしかったのだが。
サンボマスター演じるベースはかなりよかった。原作に比べても種田の、そして芽衣子の友人たちの友情が感じられる撮り方になっているのはかなり好感が持てた。バンドのシーンもさすが本職という感じで迫力があった。
ただし、いくつかの主要な台詞や場面がカットされていたり、原作でせっかく映画的手法がとられているのにそれを無視してふつうの撮り方をしている場面などは、原作好きとしては納得のいかない点ではある。もう少し脚本や演出を工夫してほしかった。あと、主題歌はアジカンじゃなくてくるりに作ってほしかった・・・が、決して悪い曲ではない。
ともあれ、原作の世界観や空気感は忠実に作り込んであり、ロケ地の場所も原作に忠実(個人的に思い入れのある場所が映ったりて嬉しかった)。苦い青春ドラマが好きな人にはおすすめできる映画だ。
ただし「リア充爆発しろ」という向きにはおすすめできない。そういう方は『ボーイズ・オン・ザ・ラン』を観るべきだ。
今すぐ。